裸足の女神




不意にちみが僕を横切る時

僕はフラスコの角度を変えたよ


ほんのちょっとの時間だけど

何の気なしに横切るちみのシルエットを

瞬時に脳裏に焼き付けながら


リトマス試験紙なら色は決まっている

反応なんて待っていられないさ


だってカセットのA面のラベルに

ちみの印を入れたんだから。


大好きな歌の隣に

きっとそれは僕の魔法なんだから。


でも発火点は見えない

化学式じゃ解けない

恋は魔法さ


とてもじゃないけど目を合わすことなんてできない

写る姿を、動きを、鼓動を

残像で見ることで精一杯なんだよ


僕はちみを守る為にこの場所にいる

この為だけに僕は生まれてきたんだ


きっと。


きっと。


紫陽花の咲くこの理科室で

誰かを意識してちみが動いているのがわかるよ

でも、何もすることができないんだ


僕はビーカーを眺めることしかできないよ

目を背けるように

心が嘘をつく


時折奏でる

時の詩織が僕を惑わせる


油蝉の歌声が木霊す

蛇崩川の辺に




僕が田中M子のパンツを盗んだことなんて

ちみは知らないよね?


時折感じる正負の葛藤と

僕の罪悪感と

そんな僕を知らないちみ


でも、大切なのは僕がちみを見ているということ

いつだってちみを見ているよ


ちみの家は知っているさ

ひとり佇むこの街で


防災頭巾も縦笛も

もう僕のものなんだから


保健体育の授業で

時折、困ったちみの仕草を

誰よりも愛おしく思えた僕。


体育座りの彼方に

見つけた儚い恋花

チャイムの音にかき消されたよね


すれ違うちみ

僕は上履きの穴をそっと隠したよ


ちみ。


ち、ちみ。


放課後、偶然逢ったその後で

僕は知らない上級生にカツ揚げされたんだよ

200円しか持っていないのに


僕はもうかめやに行くこともできないよ

目を背けるように

自転車を押して歩く


時折奏でる

外れたチェーンが僕を惑わせる


落ち葉木枯れる

世田谷公園で




公園の水道にホースを繋いでいる家の友達がいることが

悪いのかい?


踏み切りの音を聞き分けられる友達がいることが

悪いのかい?


そいつと学校ジャージで渋谷まで行ったことが

悪いのかい?



なぁ、教えておくれよ



ち、ちーみ


ちっ、ちーみ



ち、ちーみ


ち、ちみ



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少し真面目になってみます、、、

かず印(爆)。

Author:かず印(爆)。

まにあ。
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まにあ。  ( サイトへGO )